KAMUKO no SU

かむ子の巣

「空腹は最高のスパイス」とか最初に言い出した人間は一発殴らせてくれないか

ポリネシアンセッ久というものを知っているだろうか。双方合意の上で行う焦らしプレイみたいなもので、先駆者たちからはこぞって良い評判ばかりが聞こえてくる。

具体的な手順についてはこちらが詳しいので参照されたし。

セックスの常識が変わる! ポリネシアンセックスで究極の快感を得る方法とは | FORZA STYLE|ファッション&ライフスタイル[フォルツァスタイル]

ものの本によれば、五木寛之氏の著書『サイレント・ラブ』に引用されたことで日本国内での認知を得たという。こちらの初版は2002年12月だから、本邦では大体20年弱の歴史があると言えるだろう。

セッ久を単なる挿入と前後運動と射精と認識していた層を脱構築し「究極の快楽」などと銘打たれたポリネシアンセッ久は、インターネットを眺める限り愛好者はそれなりにいるようだ。深く潜るまでもなく、いくつかの記録を見出すことができる。興味のある向きはググってみると良いだろう。

僕はといえば、興味はなきにしもあらずといったところだったが、正直いざセッ久に臨んで自ら挿入を戒めるなどという荒行に打ち克つ精神力を備えてはいない自覚があるので、実践には至っていなかった。が、先日、故あって(自覚なく)ポリネシアンセッ久もどきを体験することとなったので、せっかくだから記録しておく。「レポを書いてみてくれ」という相手の要望もあったことだし。

個人の特定に配慮して細かいところはぼかしたり、あえて事実に反する表現を行っている。またはてなブログの規程に沿って性的な表現をある程度マイルドにしている。2点、了承されたい。

“なにもしない”をしているんだ

時は8月頭にさかのぼる。

ラブホテルの一室で、僕は自分が今聞いた言葉を信じられないでいた。真っ裸になった僕の下で、今しがた派手にクリイキかましたばかりの相手は、さっきまでの余裕の無さはどこへいったのか悪戯っぽい可愛い笑顔で「今日はダメだよ」と、ちょっと理解できないことを繰り返し言った。

簡単に言うと「挿入NG」という話である。それだけならまだ普通にあることだと感じられるだろう。体調だとか、気分だとか、薬の関係だとか、まあ色々ある。

問題は、それが彼女が他に関係している人間との間で交わされた約束だったことだ。しかも「今日は」というか、「今日からしばらくは」というのが正確だというのだから驚いた。

「しばらくの間、その人以外と、挿入をしない」

普段から割と本気か冗談か分からない冗談を仕掛けてくる女性なので、正直最初は「完全に遊んでるな」と思ったくらいだ。しかしどうやらガチのガチらしい。

色々と、こう、各方面に向けて叫びたい言葉が胸中に去来したし、実際に泣いたりわめいたりなだめたりすかしたり、尻を引っぱたいたり腹をパンしたり、ほろ酔いでベロンベロンになった彼女をトイレで吐かせたりしたが、結局は挿入も射精もせずにその日は寝た。なんならこの日のことだけでエントリが書けそうだし、今後忘れることはきっとないだろう。

そういうわけで、僕はラブホテルお泊りイベントをNO挿入・NO射精でフィニッシュし、1ヶ月に渡る『挿入禁止』とかいう継続デバフを食らうことになった。

強制ポリネシアンセッ久の幕開けである。

冒頭の記事によれば通常ポリネシアンセッ久は1週間で終わるようだが、こちらはその4倍だ。バカがよ!!!!!

新たなる力

それから1ヶ月の間、僕は『おあずけ』を食らったままだったが、セッ久自体は変わらずしていた。挿入ができないからといってセッ久ができないわけではない。確かに挿入というのはセッ久の王道プレイであり、カレーライスにおける白飯の役割を果たしているとは思う。

しかし、ナンで食べてもカレーは美味い。サフランライスでも良いし、食パンでも、ライス代わりのブロッコリーなんかでも味わえる。結局のところ、好きな相手であれば挿入以外で快楽を得るのはそう難しいことではないということだ。

それに気づけたのは、この1ヶ月の我慢の確かな成果だろう。

でもねぇ、やっぱ白米が食べたくなるんだな。

約束の日、来たれり

ついに所定の期間を挿入せずに過ごすことに一応成功した僕(たち)は、平日の夜だというのに、仕事後に待ち合わせてホテルへと急いでいた。普段はその辺を散歩したり、タバコ吸ったりしてぐだぐだイチャつくこともあるのだが、その日はもうホテル以外考えられなかった。

高めのテンションで会話をしながら深夜のホテル街を物色し、最終的にとあるホテルへと入室。「安いわりにしっかりしてる」というふれこみでやっているとかいないとかいう、普通のマンションっぽい施設である。

部屋の玄関を入ると、すぐ右手にお手洗いとお風呂がある。お風呂は二人で浸かれる浴槽がついている。その奥にメインの居室があるが、廊下側を除く部屋の三方の壁にピッチリとベッドがハマっている。いかにもヤれ!今すぐに!と言わんばかりの部屋だ(というかこういう部屋どうやって寝具入れてるんだろう。ボトルシップ方式?)。

部屋の電気を消すと、壁一面がぼんやり光った。蓄光塗料かなにかでプラネタリウム風の模様が描いてあるらしい。割とムードが良い。単純な仕掛けだけど可愛いしちょっとテンションが上がる。僕は明るいまま相手の表情の変化を見ながらするセッ久が好きだが、今後は明かりを落としてするのも良いなあと思えた。

荷物を置いてひとしきり部屋の中をきゃっきゃ言いながら見て回ると、どちらからともなく服を脱いでベッドに転がる。軽いキスをしながら、おしゃべりに興じる。別に自分たちの他に誰が聞いているわけでもないのだが、なんとなく声をひそめたくなってしまう。少しずつキスを深くしたり、耳を食んだり、全身に舌を這わせたりしていく。湿っぽい吐息が漏れて、段々と接触が激しくなる。

もう我慢ならんというところで、1度目の挿入。前から覆いかぶさって抱きすくめるような形で、奥までしっかり入ったとたんに彼女がイった。はじめはゆっくり味わおうと思っていたのに僕も全く自制がきかない。両手で首を絞めあげるとギュッとなったのでそのまま出した。

ぐでっとなっている彼女を抱きかかえてまったりベタベタ休憩。回復してきたところで彼女が僕を苗字で呼んだので、「どうして名前でなく苗字で呼ぶのか」と言いがかりをつけお仕置きを開始した。四つんばいで尻を突き出させ、尻を引っぱたく、背中に爪を立てる、軽く歯を立てるなど。プラス指二本で下をかき回す。痙攣しっぱなしだが、無視して奥を撫でる。逃げ出そうとするので両手と腰を抑えてひたすら指でする。喋れなくなったところで2度目の挿入。後ろから腰を掴んで揺さぶるのが好きだ。ひたすらやる。うーうー呻くことしかできなくなり人間の体を保てていない彼女が愛おしい。腰骨をちょっと持ち上げる感じにしながら再度出した。

呼吸が整ってきたところで、お風呂を溜めて一緒に入る。ちゃぷちゃぷしながら、穏やかに会話をする。お風呂を出て、タバコを吸う。ちょうど退室の5分ほど前になったので服を着て退室。計2時間の滞在。彼女を自宅のそばまで送って解散した。

今回のまとめ

・結局ポリネシアンセッ久「っぽい」だけで別にポリネシアンセッ久ではなかった

・挿入という「普通」だと思ってたことを縛ったおかげで色んな可能性に気づいた

・挿入そのものの良さにも改めて気づいたし、得られる満足感としては代えがきかない

ポリネシアンセッ久をちゃんと手順踏んでやってみたくなった